「コブラ返り」も間違いじゃないですけど、

こむら返りで、あれこれ

 

 激しい痛みが苦しい「こむら返り」ですけど、じっと我慢しているだけではなかなかその激しい痛みが消失してくれません。しかも、何もしていないのでは痛みを感じなくなっただけで治癒はしておらず、筋肉が硬くなる状態を残さないためにも、少し知っておくと役立つことを書いていきます。

 

こむら返りとは?

 子供の頃に「コブラ返り」と覚えていたのですけど、地方により「からすがい」とか呼び方が色々あって、筋肉の強烈な縮み方が蛇が頭をもたげているようなイメージで「コブラ返り」と表現することは確かにあるそうです(単純に偶然でしたけどね)。

 腓腹筋痙攣と医学的にはいいまして、南山堂意学大辞典の一部を引用すると、『下腿三頭筋の痙攣は,上位運動ニューロンの障害,中毒性疾患でも認められるが,健康な人の運動中にもしばしば発生する.筋の疲労,ウォーミングアップの不足などが原因で「こむら返り systremma」と呼ばれている』。

 ということで、実態は筋肉の痙攣です。発生する場所ごとに「ぎっくり腰」「寝違い」「こむら返り」と名前が変わるだけで発生機序は違いますけど中身は同じものです。しかし、こむら返りといえば、運動中以外にも就寝中に発生してきたり、何気ない寝返りや立ち上がるなど動いた瞬間に強烈な痛みとして経験した方が多いでしょう。思春期以後なら「こむら返り」をまず経験しているはずです。身体が冷えたからとか疲労が抜けないためだとか無理な動きをしたからとか該当しそうな原因はいくつもあるのですが、その場のことなので「これだ」と原因の特定はできないので、絶対に防げる方法も残念ながらありません。

 

早く回復させるためには

 「こむら返り」の本体は、筋肉の痙攣だと書きました。ただし、痙攣というものは全く予告なしに発生してくるものではなく、ピクピクする状態に始まってじわじわと痛みを感じてきたところから決定的な大きな痛みが襲ってくるというのが普通ですから、この「ピクピク」「じわじわ」の段階で対策をしてやれば決定的な痛みを回避することができます。「ピクピク」「じわじわ」を感じた段階で行動をすること、ここがポイントです。

 痙攣というのは筋肉の長い方向が縮んでしまう症状のことですから、「こむら返り」の場合はいわゆるアキレス腱の運動をします。立ち上がって痙攣が発生しそうな足を後ろへ引いて踵が地面から浮かないようにしながらアキレス腱を伸ばしてください。この時に少し痛みがあっても、強引にゆっくり伸ばす運動をすることです。反動を付けての運動までは不要です、ゆっくりじっくりアキレス腱を伸ばしてください。もう強烈な痛みが発生してしまった後でも早く痙攣が終息できますし、痛すぎてその時には動けなかったとしても後からじっくりアキレス腱を伸ばすことで後遺症を残さないようにできます。しつこいですが痛みを我慢しながらででも伸ばしてください。

 もし泳いでいる途中でこむら返りが発生してきたなら、まずは一度水面に顔を出して大きく息を吸い込みこれからの対処に気合いを入れます。次に長座の姿勢になり、こむら返りが発生している足の膝蓋骨(膝のお皿)を片手でしっかり押さえて足が曲がらないようにして、、もう片手で足の指先をつかんで思い切り引っ張ればアキレス腱を伸ばすことができます。少しくらい呼吸が苦しくても沈んでも痙攣を回復させることが第一で、冗談ではなく命を守るための行動になります。ベッドや布団で寝ている老人がすぐ自力で立てない場合にもこの方法は使えますので、少し痛みを我慢してもらい痙攣を最優先で停止させてあげてください。

 

ふくらはぎの痛みのシンスプリント

 ふくらはぎにはこむら返りとは別に、内側で痛みを頻繁もしくは常時感じるものにシンスプリントがあります。シンスプリントとは、シンは臑(すね)という意味であり臑が張って痛むことを表現しています。また膝窩(膝の裏)の痛みもシンスプリントに含めていいかも知れません。

 この痛みは顔をしかめたくなるほど、身体の中心に突き刺さるような感じがしてきます。今まではスポーツ選手の症状として扱われてきたのですけど、最近は中年以降の運動とは無縁の生活なのに発生してきているのは、スマートフォンが手放せない悪い姿勢になっている生活環境の変化からではないでしょうか。

 西洋医学的には骨膜の炎症なのでレントゲンには写りません。ふくらはぎが痛むというのにレントゲン検査をする医療機関は、患者の顔を見ずに診察をしているということなのでその後の回復は想像の通りとなるでしょう。骨膜の炎症を抑えるにはまずは運動を停止させることにはなるのですけど、安静にしていても痛みが出てくるほどであれば仕方ありませんがスポーツ選手は練習をしたいのであり競技に出場したいのですから、練習しながら回復させる方法を西洋医学的には思い描けません。

 ある時に女子陸上選手が、シンスプリントの痛みが発生してきていたのに我慢して隠して練習を続けていたなら、普通に歩くのでさえ痛くて顔をしかめるほどになって来院してきました。ふくらはぎは腫れており、直接触ることができません。それまでシンスプリントの治療は背中から腰とふくらはぎに施術してきたのですけど、ふくらはぎを直接施術できないので困るところでしたが小野寺臀点のやや内側が盛り上がるほどの硬結になっており、ここを中心に施術すると今まで以上のスピードで回復して一ヶ月でしっかり練習に復帰できました。この小野寺臀点の内側がシンスプリントの実は原因部位だということが分かったので、以後は集中的にここだけを施術するようになりました。ふくらはぎに直接施術することもしなくなっていて、遥かに治療回数も減っています。

 痛みを感じている部位と原因部位が明らかに違う時には、痛みを感じている部位には一切何もしないというのが方針であり、治療の成功確立が飛躍的に向上しています。

 

       TRADITIONAL JAPANESE MEDICAL

        脉診流 にき鍼灸院

522−0201  滋賀県彦根市高宮町日の出1406

0749−26−4500



パンフレットの閲覧ページへ戻る   資料の閲覧とダウンロードの説明ページへ   『にき鍼灸院』のトップページへ