治療のポイント 実技編


肘関節脱臼の整復方法

 肘関節の脱臼は肩関節に嗣いで多くあります。骨の発達により小児期までしか発生しません。思春期以後で肘が全く動かないようでは骨折が強く疑われますので、まず検査が必要です。これは輪状靱帯がガッチリと固定をするためです。わかりやすいように亜脱臼の解説を医学事典より一部引用すると、

正確には輪状靱帯外橈骨亜脱臼。小児において肘関節伸展,前腕回内位で突然手を牽引されると輪状靱帯が遠位付着部で橈骨から剥離されて,橈骨小頭の上を近位側へとまくれ上がり,一部が腕橈関節内に嵌入する。そのため橈骨小頭が亜脱臼の状態となる。この輪状靱帯の亜脱臼は小児の橈骨頭の発達が不十分なためといわれる。

上腕二頭筋腱の内側に拇指を当てている写真のアップ   上腕二頭筋腱の内側に拇指を当てている写真

 整復に入る前に、まず骨折を起こしていないかどうかを少し離れた部位を叩いて響くかどうかで判断します。肘関節が腫れていて響きもあるようでは骨折しています。しかし、これは素人でも容易に判断できるでしょうから、確認ができれば整復に入って構わないでしょう。
 上の写真のように術者の拇指を外側から上腕二頭筋腱を越えるように回し込み、しっかりと押さえます。

手首を持ちながら腕を伸ばしている写真   腕をぐっと伸ばした写真

 術者は肘関節を押さえているのとは反対側の手で患者の手首を握り、肘関節をしっかり固定しながら腕を伸ばします。整復方法はこれだけです。脱臼にも種類があるようですが、前腕のひねり方をあまり気にしなくても大丈夫です。大きな整復音はしませんが、整復が完了すると直ちに腕が使えるようになります。 肘関節脱臼の整復実演ビデオ   youtubeで再生

 「おばあちゃんが逃げようとした子供の腕を握ったら肘が引っ張れたようで、曲げも伸ばしもできないんです」と泣きそうな声でお母さんが電話をしてきた初体験ではこちらの方がドキドキしましたが、なんとあっさり整復されてしまいました。子供は正直なもので肘が動くようになったら元気そのもの、小児鍼をすることさえありませんでした。
 ちょっと後日談がありまして、一週間後に今度はお母さんがお風呂の中でだだをこねているこの女の子の腕を引っ張ってまた脱臼させてしまい、慌てて飛んできました。もちろん簡単に整復されていますがこれに味を占めた女の子が、怒られそうになると「また肘が抜けたら大変やんか」と印籠を見せるがごとく逃げる手段にかなり使っていたとのことです(笑い)。

 ということで、最近は外で遊ばず家でのテレビゲームに熱中している子供の方が多いのかも知れませんが、突然遭遇することがあるので知識は持っておいてください。


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