生まれてきてくれて、ありがとう

− 妊娠から出産までの軌跡(その3) −

小児鍼の前に脉診している写真

小児鍼(しょうにしん)

 「赤ちゃんに鍼灸?」とビックリされる方もおられるでしょうが、関西では昔から有名であり、所属する 滋賀漢方鍼医会 で発行しているテキスト 「経絡治療の臨床研究 では、歴史的なことから紹介しています。また 論文のダウンロード には「小児鍼について」の講演データを掲載してあります。
 左の写真は小児鍼の前に脉診(みゃくしん)をしている場面で、乳児であったとしても工夫で充分に脉診は出来ます。下の写真は施術風景です。私たちの治療法では大人でも刺さらない鍼を用いているのですから、もちろん小児鍼でも刺さらない鍼です。 小児鍼のビデオは、ここをクリック。 人見知りの頃にはちょっと泣かれてしまうこともありますけど、最初の数回だけで自分から喜んでベッドに飛び乗ってくるようになります。 パンフレットのダウンロード の「やる気の話」にも、当院での小児鍼システムや子供にやってもらうことなどを紹介しています。

 産まれて十日目にあまりの蒸し暑さからエアコンをつけていたのですけど、今日はやたら便の回数が多いなぁと思っていたら下痢をさせていたのでした。原因はちょうど風がベビーベッドに直接当たっていたからです。おむつかぶれを治してあげる方が優先だったのと体調を把握するためにまずはエアコンを停止し、明くる日に小児鍼をしたところ一時間程度ですぐ下痢は回復しました。逆に歯の治療で抗生物質を飲んだため母乳が与えられないのでミルクで便秘になった時も、治療後半時間程度でスッキリ出してくれました。今さらながら我が子に小児鍼の効果を再認識させてもらっている次第です。
 子供は言葉で伝えられないから、体調不良をわがままな態度で伝えてくるのです。風邪やアトピー性皮膚炎などは物理的変化が大きいのでそれと分かりますけど、小児の体調不良はこれらを含めて十把一絡げに「疳の虫(かんのむし)」と言います。疳の虫は速く治療してあげましょう。
大腸経付近を小児鍼   背部を小児鍼   脾経へ本治法



ベビードレスでおしゃれも

子供はもう一人の人間です

 親の遺伝子を受け継ぎ誕生してきた命ですが、関係が親子と言うだけであってこの世に産まれたならそれはもう一人の人間として尊重すべきだと私たちは考えています。
 お気に入りを見ていればおとなしいからと一歳にも満たない子供に毎回同じビデオを見せて、その間に用事を済ませているという話を聞きます。これは家族として協力させているのではなく、親の勝手で子供に詐欺を働いているのではないでしょうか?型にはまった行動パターンや思考の大人だから決まった順序で片付けたいだけのことで、子供時代の方が創造的で楽しかったことを大人が思い出せば次々起こしてくるハプニングは本能的なものであり、一緒に付き 合ったり時間の工夫をすることの方が楽しくなってくるはずです。

お宮参りでの写真  ですから幼児言葉を使われる人がいますけど、これは絶対に間違いです。例えば犬を「わんわん」と教えているのを見かけますけど、いつかは「犬」という正しい固有名詞を覚え直させることになってしまいます。何故そんな無駄な努力を子供に強いるのでしょう?「犬がわんわんと泣いている」は正しい表現なのですが、大人の勝手で幼児言葉を作って子供を混乱させるべきではないでしょう。
 同じようなことでは、大人の都合で嘘をまき散らしていると子供が何を信じていいのか分からなくなってしまいます。注射の時に「何もしないから」「痛くないから」は嘘で、「病気を治してもらおうね」「痛くないように頼もうね」が正確な表現でしょう。どんなに小さくても・安易なことでも、嘘は嘘です。適当な嘘でその場を納めようと言うやり方も、絶対にダメです。
 お互いにトラブルを・混乱を発生させないためには、《怒る時の基準》をしっかり線引きしておくのが大切だと思います。私たちの場合は「一生懸命やったのに失敗したことは怒らないが、いい加減なことで失敗やいたずらする場合には怒る」としています。人間ですから多少その場で基準が上下することはあるでしょうけど、線引きがしっかりしていれば当たり散らすようなことは防げます。気紛れに怒られたのでは子供は常におびえていなければなりませんから、そんな可哀想なことはしないでください。

 「スポーツコーナー」のトップ に『本当に知のある人間とは』ということで書いたのですが、人を差別しない人間に育って欲しいと願っています。逆に言えば真っ白な子供なのに悪しき習慣を植え付けているのは大人であり、子供を一人の人間として尊重するなら子供からもう一度人生を教えてもらうことの方が多いのではないでしょうか?


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