それは医療の原則として違います

夕方に来院された患者さんなのですけど、更年期にも入っている御婦人なので不定愁訴が重なってくることは仕方ないとして、今回は耳の閉塞感が苦しく耳鳴りそのものもしてきたということでの来院でした。
ところがメニエルだと診断されたというのです。目眩症状は全く無く、それなのにメニエルってという感じです。この患者さんは以前に、聴力には一切変動がなく目眩症状だったのに突発性難聴だと言われており、診察と脈状があまりにも一致しないのでこちらから問いかけて判明したものでした。前歴のある耳鼻科ですから、診断は全く信頼できません。
素人の耳障りが良いようにと知られている病名へ当てはめようとしているのでしょうけど、それは医療の原則として違います。正しい病気の知識を伝えることが医療人なのであって、耳障りが良いものでて名付けていたのでは間違った知識が益々広がるだけで収集がつきません。専門用語を羅列して反撃できない状態で相手をひれ伏させてしまうのも間違いでしょうけど、最低でも正しい知識を伝えて、一応でも納得してもらうところまで労力しなければならないのが医療人です。