まじめな話、脈診での虚実は私にはわかりません

前エントリーで登場してもらった現役医師なのですけど、「漢方外来で脈診はするけど虚実がよくわからなくて」と、思わず口走ってくれました。漢方薬そのものは総合診断で処方されるので問題ないのでしょうけど、講習の中で脈診が出てくるので見様見真似でやってもわからないということでした。
もちろん診断太谿が違うことは認識されており、私の真似をしようなどとは考えもしていないということです。鍼灸治療は受けているだけで十分であり、任せている方が楽ですから。それと不問診の領域には、片手間の脈診では絶対に追いつかないことも認識されています。
ところが私、「未だに脈診での虚実はよくわかりません」と正直なところを話すと、驚かれていました。体質としての虚実は総合診断でわかるのですけど、全体脈状でも各部位でも虚実を脈診で見分けることは実はできていません。実脈についてはわかることもあるのですけど、虚脈は「これがそうだ」というものがわからないです。虚実はいくらでも屁理屈が通ってしまうというのもあります。
ですから脈差診という形で強引に虚実を分けることをしてきたのですけど、どうしても主観が入ってしまうので正確なことができていたのか。それで脈診に絶対値が定義されている菽法脈診に魅力を感じて漢方鍼医会へ移籍をしています。それと三点セットで証決定は決断するので、脈診で虚実がわからなくても不自由しないのです。