肩こりの話
お待たせしました!という感じですが、「肩こり」について書いてみます。
よく「釣りはフナに始まりフナに終わる」と言われるそうですが、これをもじって「鍼灸は肩こりに始まり肩こりに終わる」という人がいるくらい、とても身近な疾患であるのですが、実は奥が深くて最も難しい疾患の一つでもあるのだという意味で用いられているのです。
その前に、我慢することは絶対に損!
いずれの病気に対しても言えることですが、我慢をして得することは一つもありません。決して「肩こりくらい・・・」と思う事なかれ!
自覚症状では「肩こり」くらいの大したものでもないのが、重大な病気の前兆である場合があります。右側では肝臓・胆嚢・膵臓疾患が考えられ、特に肩甲骨の周囲に焼け着くような感覚があればこれら臓器の癌の疑いもあります。左側では心臓・胃腸疾患が考えられ、特に肩関節の痛みも伴うものは重傷の疑いがあります。
放ってても自然に回復するのはせいぜい発症から2週間までで、それ以降は絶対に自力で回復することはありません。速やかに専門家の診察を受けるべきですね。
肩こりはどうして発生する?
「私は目が悪いから肩がこります」「歯が悪いから」「胃が悪いから」「手をよく使うから」「仕事でストレスがたまるから」「疲労が重なると」などと口々に意見を聞きますが、どれが一体正解なのでしょうか?
答えは『全て正しい』のです。身体のどの部分に異常があってもそれに連動して、つまり、警告信号として肩こりは発生するのです。
ビルの警報機に例えてみましょう。1階でも5階でも煙が発生すれば全館にジリリリ・・・ジリリリ・・・とベルが鳴り響きますが、これが肩こりなのです。ここで「肩を揉む」という行為に普通は移るのですが、とりあえず警報機の自動スイッチを入れるようなものでスプリンクラーが回って消火完了となる場合もあるかも知れません。けれど、通常は一時的にベルが鳴りやむだけですぐに煙が再発生し警報機は鳴り続けます(肩こりの再発ですね)。ですから、1階や5階の現場に直接消火作業を施さない限り(身体各部の治療もしない限り)、肩こりは貴方を悩ませ続けることになります。
脉診流漢方はり治療は、その根本的な消火作業をするために手足から施術を始めて全身のバランスを整え、体質改善と生命力の強化を図っているのです。
ストレッチ体操による自己防衛法
いわゆる「肩を揉む」という行為は、消火機の自動スイッチを入れているだけで根本的な解決には全くならず、むしろプロの言葉の「揺すり按摩」となって皮膚と筋肉の間をこすってしまい悪化をさせることさえあります。按摩とは「充分に押してから揉む」という意味の造語ですから、訓練された指でのみ達成される技術であります。素人の方は指圧だけなら事故も少ないでしょう。
簡単なストレッチ体操にて自己防衛を図りましょう。ストレッチに関する詳しい解説は当院のスポーツ関係のパンフレットやホームページをご覧いただくとして、決して無理をしない心地良く痛みを感じる程度のところで持続的(15〜30秒)に筋肉を伸ばす体操です。以下に腰痛も含めた背中のストレッチを紹介します。
⑴(この体操は全て枕を外し仰向けに寝た姿勢で行います)
@腕を頭の後ろで組み、肘をくっつけるようにして腕を絞り、その力で頭を持ち上げます。
A腕は組んだまま耳の高さに降ろし、肘を床面に押し着けるようにして胸を張り、さらに肩甲骨同士が引っ付くように力を入れます。
B立て膝をして、最初は左に、次は右に足を倒します。
「風邪は万病のもと」と言いますが、メカニズムからすると「肩こりは万病の警告信号」とでも言えるでしょうか?具合が悪いのを我慢して得することはありません。なるべく早くに(周りの人も含めて)治療をしてください。
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