動悸がして仕方ありません、それは

奔豚気病です

 階段を駆け上がったり重い荷物を運んだ後などに心臓がドキドキする動悸は普通なのですが、何もしていないのに突然ドキドキとした動悸を感じること(病気)があります。これを漢方では奔豚気病(ほんとんきびょう)といいます。

 

動悸を感じる原因

 動悸を感じる原因にはいくつかあります。まず狭心症や心筋梗塞という心臓そのものが危ない状態のことですが、この場合には心臓に強烈な痛みを感じるだけでなく呼吸困難を伴いますので、すぐに安静にして誰かの助けを求める必要があります。この状態は直感的にわかりますので、普段はそれほど恐怖感を感じる必要はありません。

 次は恐怖を感じた時です。抜き打ちテストを宣言された時には心臓が口から飛び出しそうになった経験を誰もがお持ちでしょうし、交通事故やスポーツでのアクシデントなど危機一髪だった時には、動悸が治まらず手の震えも止まらなかったことが誰にでもあるはずです。これは単なる興奮状態ですので、身体が何か異常になったわけではありません。時間経過とともに解消します。

 問題なのは何も心臓が踊り出すような原因がわからないのに、突然激しい動悸がしてくるケースです。更年期障害のホットフラッシュ、つまり突然首から上が汗をかくほど熱くなったかと思えば数分後には元通りになる現象なら気持ち悪いですがまだ理解できます(その後に汗によって冷えますから体調を崩すことが多いです)。けれど本当に何も思い当たる原因がないのに突然動悸がして、数分後に何事もなかったかのように終息してしまう病気があるのです。

 これを漢方では奔豚気病といいます。豚ちゃんがパニックになって走り回っているような様子の病気だと、古代の人は実にうまく表現したものですが、まさに突然パニックが始まり訳もわからずに恐怖感に襲われてしまう病気なのです。

 

奔豚気病の原因

 ゛人体は生きるために体温を発生していますし、それを制御するために冷やす作用も有しています。体温の発生がなくなれば直ちに死亡してしまうのでこれはあり得ず、時々冷やす作用の方が疲れてしまって手を抜いてしまい、その時にかーっと熱くなったり動悸がするのだと想像していただければいいでしょう。

 これもガスコンロや石油ストーブを思い浮かべていただければすぐにわかることですが、熱というものは上へ上へと登る性質があります。腹部の臓器で冷やす作用が手を抜いてしまうと途端に熱が上へ駆け上り、心臓が突然の熱で驚いてパニックになり豚ちゃんが奔走するがごとくあちちと踊り出してしまうのです。これが奔豚気病なのです。

 

奔豚気はどうすれば回復する?

 西洋医学には臓腑が熱を交換しているという概念がありませんから奔豚気を理解することができませんし、当然ながらそのような薬もありません。しかし、脉診流鍼灸術であれば脉診によって五臓六腑の熱交換の状況も把握できるので瞬時に奔豚気を改善させることができます。具体的には肝経や腎経という名前の経絡(エネルギーの流れと考えていただければ結構です)に施術するのですけど、それもぐっと鍼を突っ込むようなやり方ではダメで熱交換を正常にコントロールできるような「気」の操作によります。

 とにかく奔豚気は本人にすれば深刻な病ながらも、原理さえわかっていればそれほど難しい病気ではないのです。

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