新型コロナウィルス騒動が原因?

ブロークンハート症候群を即座に回復

 2020年の“covid-19”と名付けられた新型コロナウィルスの世界的大流行(パンデミック)は、我々が生きている時間帯ではおそらく歴史に一番残るだろう大事件でしょう。感染症そのものへの鍼灸治療は法的にできませんが、自粛期間中に発生してきた様々な不調に治療を求められるケースが多くありました。そしてストレスから息苦しかったり胸の痛みを感じたり背部痛や頭痛などブロークンハート症候群が多く発生してきています。西洋医学では本当の心臓病ではないので経過観察しかできないのですけど「今苦しい」のであり、鍼灸は後遺症の分野でウィルスと戦います。

 

まずはコロナウィルスの解説

 テレビのワイドショーで散々にウィルスのことはご覧になっていたでしょうけど、では「ウィルスって何?」と聞き直されるとほとんどの方がよくご存じないと思います。そこで基礎知識から。

 wikiペディアから冒頭部分を引用させてもらうと、「他生物の細胞を利用して自己を複製させる、極微小な感染性の構造体で、タンパク質の殻とその内部に入っている核酸からなる。生命の最小単位である細胞やその生体膜である細胞膜も持たないこと、小器官がないこと、自己増殖することがないことから、生物かどうかについて議論がある」とあります。日常会話の言葉に翻訳すると、「タンパク質の殻に覆われたDNAもしくはRNAだけという自分では移動すらできないのに宿主となる細胞(covid-19の場合は人間)に取り付いて、自分のコピーを作り続けているだけの生物といえるのかもわからない奴」ということになります。ところがウィルスそのものは人類が地球上に現れるずっと以前から存在している大先輩ですから、絶妙な繁殖(感染)システムを確立していて、それが厄介なのです。

 コロナウィルスは哺乳類や鳥類を宿主としていて、丸い殻からスパイクと呼ばれるタンパク質の突起が出ていてそれが太陽コロナ(光の環)のようであることから名付けられています。人に感染するコロナウイルスは風邪症候群の4種類と、動物から感染する重症肺炎ウイルスが2002年のSARS-CoV:重症急性呼吸器症候群,2012年のMERS-CoV:中東呼吸器症候群,2019年のSARS-CoV2:新型コロナウィルス(covid-19)が現在あります。つまり、冬に毎回流行する風邪症状の中に必ずコロナウィルスは含まれてきましたが、近年になって動物から新たに感染してきた重症肺炎タイプが加わったのです。新たなタイプもいずれは「いつもの鼻風邪」になるはずです。けれど何年かかるのか不明ですし、犠牲が大きくなりすぎないように必死に戦っているのです。戦うのは医療関係者や行政だけでなく、一人ひとりの協力が最も大切です。

 

細菌とウィルスの違い、そして注意点

 混同されがちな細菌は立派な生物であり、結核菌やコレラ菌など病原体になることもありますが、抗生物質により抑え込めるケースが増えています。また乳酸菌や大腸菌のように体内で働いてくれている有益なものもいます。そのため手指を清潔にすることでウィルスや細菌を流してしまうことが感染を防ぐ最も大切なことなのですが、有益な常在菌まで死滅させてしまうので毎回のアルコール消毒よりも流水での洗浄をこまめに行うほうが有効です。またウィルスの殻はタンパク質ですから水分に弱いので、外出時はウェットティッシュで手を湿らすだけで相当に効果があります。

 そして大きさが全く違います。インフルエンザウイルスの大きさは80〜120nm(ナノメートル)ですが、細菌は約1〜5μm(マイクロメートル)と単位そのものが違います。1 μm=1000 nm)ですから、納豆のひと粒とスイカほどの違いがあり、細菌は光学顕微鏡で見えますがウィルスは電子顕微鏡を用いなければなりません。ということで、マスクを付けていても隙間を抜けてしまう大きさなのでウィルスの感染は防げませんが、ウィルスは主に飛沫に含まれて外へ飛び出しますからマスクで次の人への感染はかなりが防げます。マスクは人との距離があれば熱をこもらせないように、こまめに付け外しをするのが上手な使い方でしょう。

 人から人へは飛沫感染が最も多く、宴会や満員電車での大声の会話は今後も推奨されませんから、換気をしてウィルスを薄めてしまうという発想のほうが大切です。また無意識に顔を触っていることが実は相当に多いので、むやみに触らない癖を自分でつけていくことも大切になります。基本はこまめな手洗いと必要な場面でのマスク、うがいとバランスの良い食事に十分な睡眠時間、それから発熱時に無理して外出しないことです。今までの日本では多少発熱していても仕事をするのが美談のように言われましたが、感染を広げないことが一番です。それが本当の「働き方改革」ではないでしょうか。

 

コロナウィルスは様々な症状も引き起こしていた

 2020年4月からの緊急事態宣言では自宅待機を極力求められ、ストレス過剰からの「コロナ太り」や「コロナうつ」やアルコール依存などが発生し、当たり前に自由に行動できていたことがこれほどありがたいものだったと誰もが思い知らされました。

 そして日常のイライラから八つ当たりや家族と衝突をしてしまうので、「これはまずい」とうつむいて息を潜めるようになり、いつの間にか呼吸の浅くなっている人が多くいました。緊急事態解除後に一度この症状も緩和したのですけど、感染再拡大の数字を見て今度は背部痛や頭痛に心臓の痛みやはっきりした呼吸困難を感じる人が、もっと多くなりました。これらはブロークンハート症候群に該当します。

 CNNニュースから引用させてもらうと、精神的ストレスを原因とする心臓疾患「ブロークンハート症候群」の症例が、新型コロナウイルスに感染していない患者の間で急増していることが、米オハイオ州の2つの病院で行われた実態調査で明らかになった。研究チームは、新型コロナウイルス流行に伴う精神的、社会的、経済的ストレスの身体的影響を指摘している。ブロークンハート症候群は、「ストレス心筋症」「たこつぼ症候群」とも呼ばれ、心筋が弱って胸の痛みや息苦しさなどの症状が出る。心臓発作に似ているが、血管が詰まることではなく、ストレスによって誘発され、まれに死に至ることもあるが、大抵の場合は数日から数週間で回復する。とあるのですが、本当の心臓病ではないもののコロナ騒動が収まるまで自然に回復することは残念ながらなさそうです。いや、経済状態が安定するまでの長期間続く可能性もあります。

 

ブロークンハート症候群の鍼灸治療

 脈診で六菽は東洋医学での心臓の高さであり、この高さが全て渋った状態だと心臓の動きも渋っていると判断できます。次に膻中(だんちゅう)という胸のど真ん中にあるツボを押さえて痛みがあるかを確認するのですけど、呼吸が浅いと胸の骨に負担がかかるので痛みが発生していて当然です。服の上からでも容易に触知できるくらい反応しているケースがほとんどなので、胸骨であっても胸を触りながらの治療となるので必ず先に確認と了解をもらうようにしています。

 治療は様々なストレスが集中して発症したという病理から、最後に処置を行うのが一番効果的だと考察できます。他の症状を主体に通常の治療を行い、一度仮の終了をします。この時点で呼吸が治療前より楽になっていることを確認できたなら、膻中が心包経の墓穴であることに着目すると数秒間の切皮はしない接触鍼が最適です。つまり、軽く当てるだけの鍼をするだけです。治療家は診断さえできれば処置そのものは難しくないのですが、「あの時に呼吸が楽になったから」と経験しても病理の裏付けがないので、素人さんはむやみに押さえないほうがいいでしょう。

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