ていしんで子午治療が可能、非常に便利です

 「胆心が肝小して、肺膀大腎の胃心包が脾三した(たんしんが かんしょうして はいぼう だいじんの いしんぽうが ひさんした)」
 たったこれだけを暗記するだけで、広範囲に出現している痛みを瞬時に和らげたり、なかなか頑固な症状の改善のきっかけになるなど、子午治療は簡便な上にとても効果の高い治療法です。 あはきワールド投稿原稿「子午治療はていしんで可能、流派に関係なくすぐ用いられます 鍼灸の新時代は、自分たちで理論構築していく時代なのかも」

母指で圧痛を抑えている写真  詳細は各種テキストに書かれてあるのでそちらへ譲りますが、原理としては子午(しご)治療は経絡時治療とも呼ばれ、一日が24時間ですから十二経絡なので一つの経絡は二時間ずつの担当があり、これを十二時間制で表にすると6パターンの組み合わせになり、それを応用する治療です。条件としては特定の経絡流注上に痛みや症状が出現していることであり、その反対側の該当する経絡の概ね絡穴に圧痛が現れるので探します。 ていしんによる子午治療、後半(補助解説) - YouTube
 この「あっつうをさがす」なのですけど、右の写真のように少し指を立てながら決定的な一点を探し出すことが重要です。大抵は患者側が痛みがあることを伝えてくれるのでその後は微調整となるのですけど、力任せに押さえてしまうとどこでも痛みになってしまいますから最初はやや強めに探る程度から、手応えがあったところでその中心を探ります。「これだ」というピンポイントが見つけられたならここはかなり力を入れて確認すると、合致すれば症状は即座に軽くなり、患者への説明の意味も含めて最終確認ができます。

押し手を作って二木式奇経鍼を当てている写真   押し手を作らず二木式奇経鍼を押し当てている写真


 治療点が決定できたなら、左の写真のように押し手を作って鍼をします。「たんしんが かんしょうして はいぼう だいじんの いしんぽうが ひさんした」という暗記方法は福島弘道先生が書かれた『経絡治療要綱』にあるのですけど、金30番という太い毫鍼を用いることが推奨されていました。ここまで太い毫鍼だとほとんど刺鍼はできないのであり、太い鍼が肝心であることを福島先生は熟知されていたのだと今からは想像できます。
 右の写真はこの程度の圧力で押さえていることを示したものですけど、子午治療は経絡をシーソーのようにして活性化できるようにそこそこ抑えながら鍼をすることだと定義すれば、太いていしんさえあれば実現可能だということになります。実際には臨床現場に毫鍼がなかったことから苦し紛れに二木式奇経鍼を使ったなら以前と変わらない効果が出せたのであとから理論付けしているのですけど、4mmという太い直径と純銅に近い純度が相まって到達できたとも言えます。太いていしんであれば手持ちのもので代用も十分にできるでしょうし、刺さらない鍼で行いますから患者が恐怖することもなければ何度かやり直しても悪影響は出ません。持続力はていしんの方が高いという印象です。
 では、取穴の要点や即座に効果が出せている動画で具体例から学んでください。 ていしんを用いての子午治療の概要説明と実際(前半)   ていしんによる子午治療、後半(補助解説) - YouTube   ていしんで子午治療ができます(前編・後編) youtube


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