「時邪を応用した切り分けツールの活用」、その3とコロナ時代の治療に思うこと

 

滋賀漢方鍼医会  二木 清文

 

 2020年からの新型コロナは社会生活の何もかもに影響があり、我々の鍼灸院運営にも影響を与えていますがそれ以上に患者さんの病状に影響を与えています。そしてピンチをチャンスに変えてビジネスを大きく伸ばしている企業があるように、患者さんの病状変化が技術を伸ばしてくれないだろうかと取り組んできました。

 もちろん突然の予期せぬ変化に苦しんでおられる患者さんを救いたいという心があってのことであり、苦し紛れから発見したことのほうが多かったのですけど、一年半のことをまとめてみたいと思います。

 

 

  1.コロナストレスからの変化は、力押しの発想では無理

 初めての緊急事態宣言の前後、いきなり目立ったのは若年の女性の頭痛や頚部痛でした。またしばらくすると突然の激痛に「外出控えすら我慢できないから」と来院される方が多くなり、いずれも本治法のみで痛みが減少させられなければどうにもならないほどの過敏状態だったということです。その後も外出をしないこととストレスから身体がもろくなり、亀裂骨折など物理的損傷を伴う病状が増えています。

 2020年の1月は、まだ中国で「変な新しい風邪が流行ってきた」程度のニュースに始まり、主に中国から戻ってきた人が発熱からPCR検査をすると陽性だったということから、国内への持ち込みが判明してきました。けれど、まだ中国へ出かけなければ大丈夫程度の認識です。ところが武漢市が突然ロックダウンされてしまい、武漢市から日本人が帰国できるようにチャーター便が手配されましたが、この時点ではまだ日本人の感染者は確認されていませんでした。ところが、武漢市からの団体客を観光バスで大阪から東京への往復をさせていた運転手とバスガイドが感染していたというニュースは、感染力の強さで恐怖を植え付けてくれました。さらに豪華客船の「ダイヤモンド・プリンセス」の感染事例でテレビが大騒ぎになってきていました。

 それでも外出を控える動きにはなってもまだ2月は漢方鍼医会本部の月例会が平気で実施され、吉田副会長がNHKのど自慢で合格に至るまでの武勇伝を帰りの居酒屋で一時間半の大演説に聞き入っていましたから、私達は過去のサーズやマーズと同じ展開しかしないだろうと対岸の火事にしか考えていなかったようです。

 

 潮目が一気に変わったのが、当時の安倍首相が突然に全国の学校へ休校を要請したことだったでしょう。もう様々な行事が延期や中止に変わってきていましたが、ソフトロックダウンとも言える経済を停止させての感染防止対策をやるというのです。けれど停止させるのは経済だけでなく学業活動もそうであり、一番に反応したのが該当する年齢の女子学生たちでした。「このままだと進学はどうなるのだろう?」「せっかく頑張ってきた部活が」などなど、ストレスからの肩こりは一気に耐えられないレベルの頭痛となって慌てて来院してきたという感じでした。吐き出しようのない恐怖とストレスがもたらす身体変化がこれほど顕著だと、患者さんから教えてもらう時間帯へ突入したのでありました。その後もコロナの時代は、患者さんの症状から学ばせてもらうことが本当に多くなっていると実感します。

 いつもなら女子学生と言っても高校生や大学生なので、少々荒療治ででもというくらいですけど雰囲気が違います。発生している頭痛よりも、生活そのものに恐怖をしていることが読み取れるのです。大抵は家庭でマッサージ機を使ったり自分で揉んだりなどしていましたが、「これはまずい」というほどの頭痛なのですからこの事実だけでも強い治療は逆効果にしかならないことが即断できます。首に熱がこもっているケースも多く、最低でも本治法で熱感が取れなければ回復は見込めないと目標設定をして治療をすることで、最初の鍼灸院にとっての衝撃波を乗り越えたという感じでした。証としては数脈で陽経からアプローチするケースがかなり多く、肝病で右三間や脾病での左足臨泣が目立ちました。もちろん肺虚肝実証や脾虚肝実証を含めた陰経からの邪気論での治療も多くありました。。急性劇症で気血の充満・停滞があることから妥当だったのではないでしょうか。

 年度が変わり全国一律の緊急事態宣言になると開き直ってきたのか、女子学生からの頭痛というのはなくなったのですけど今度は腹たち紛れに突然運動をしてみての外傷が目立つようになりました。特に多かったのが足首の剥離骨折で、捻挫と区別しておかないと予後が大きく違いますから脈状と打診でしっかり確認することが必須です。骨折での脈状での特徴は同時に両方の寸口が強くなっていることで、これは物理的損傷へ気も血も多く送り込んで治そうと身体が頑張っているからではないかと理論は考えています。打診での確認というのは、骨折の箇所ではなく離れた箇所に打診すると響くというものであり、骨折が確認できる一番簡便ながら確実な方法です。離断がはっきりしている骨折だけでなく亀裂骨折や剥離骨折でも用いることができます。膝の半月板損傷については脈状を確認してから、まず膝蓋骨を真上から押さえて、膝蓋骨の下側に痛みがあることを確認した上で打診で確かめるという手順になります。証は脾虚肝実証が中心で、局所に血を強引に動かすことのできる瀉法鍼を用いることが必須です。

 瀉法鍼については実技を中心に何度も紹介しているものですけど、管鍼術のちょっと変形のようなもので鍼管の先から1mm程度突起が出るよう専用に作成してもらっているものです。これを管鍼術のようにしてかなり強めに叩くと思い切り経脈に響きますから、これで強引に血が動かせるというものですから局所の血滞の改善にはもちろん大きく物理的な変化を伴っている状態へ非常に有効です。ただし、強く叩きますからこれだけだと血滞が解消する代わりに表面から気が抜けてしまい勝手にはなかなか修復してくれないので、金メッキのローラー鍼で周囲の期待を流すことで修復をすることがセットで必須です。皮膚への刺激量が何故か大幅に違うので、必ず金メッキのローラー鍼にしてください。この瀉法鍼の実技は文字で表現すると煩雑に思えてしまいますが、経絡治療の分野の鍼灸が実践段階にあればごく短時間で習得できる鍼灸師のスペシャルアイテムになってくれること間違いありません。

 中にはバスケットの自主練習をしていたなら溝に足が落下してしまい、本人も痛みは外果周囲に感じていたのですけど整形外科で捻挫と言われていたのに、実際は腓骨の亀裂骨折だったというものもありました。打診をすることで亀裂部位の特定ができたのであり、この手のものは部位が特定できるかどうかが回復ペースを大きく左右します。鍼灸にはやはり整形外科的な疾患で来院されるケースが多いのであり、例えば腰痛だけでも物理的な変化には色々あるものですし新型コロナ以後には顕著に身体がもろくなってきているので、漢方鍼医会でも物理的変化への具体的対応策をもっと積極的に治療体系へ組み込むべきと強く主張します。小さな骨折くらい対応できなければ、これからの鍼灸院は成り立っていかないでしょう。

 本当に仕事になっているのかさえわからない強引なテレワークや集まれなくなってしまった趣味を一人でやりまくったりなど、ステイホームも合わせて自宅で根を詰めていたために発生してきた痛みや体調不良が次は目立つようになりました。痛みを主訴とするものは邪気論での治療が目立ち、体調不良のものは正規論の治療がほとんどでした。体調不良は気血が虚損した状態ですから、当然といえば当然だったでしょう。また沈脈も暖かくなってきていたのに目立ちました。このあたりは物理的変化が優先なのか、気血循環の悪化から物理的変化のように見えてしまうのかの鑑別が大切であり、今後の漢方はり治療についても症状の強さだけで邪気論優先・正規論優先のようにはしないほうがいいと思います。

 

 それからバセドウ病も多く来院されていましたが、要因はよくわかりません。近年バセドウ病は増え続けているのですけど、コロナ感染を恐れての病院への通院控えというのが逆に密にならない鍼灸院へ流れてきたのでしょうか?甲状腺が原因での疾患には、脈がサインカーブのような規則正しいものでなく沈み切る前に次の波形が始まってくるという大きな特徴があり、その角度によってバセドウ病は慣れれば脈を触った瞬間に診断できるようになります。逆に甲状腺機能低下の橋本病ですけど、いくつか経験すると角度の違う脈の波形でこれも見抜けるようになりましたが、バセドウ病の治療をいくつも経験手自身が持てないと手が出しづらいちょっと厄介な病気ではあります。ホルモンバランスが崩れてのものは更年期障害が一番に思い浮かぶのですけど、脈診するだけで不問診で病名が見抜けてしまうものもあり、しかも病名がわかれば予後判定も容易になるのですから、このような情報交換は大切だったのではないでしょうか?

 ちなみにバセドウ病の治療は肝の疏泄作用が暴走していると置き換えられるので、当然ながら数脈は陽経から剛柔で運用するのが効率的ですから大腸経を用いています。選穴は五要穴を邪気論に当てはめて運用しているので原穴か絡穴が正規論で用いれることになり、右偏歴に衛気の補法がかなりの確率で該当しています。初回から劇的に改善するパターンと二度目で落ち着くパターンがあるのですが、どうして違いが出るのかはわからないものの症状そのものは三度目の治療で収まっています。過去の経験から内分泌の病は再発防止の治療を最初からセットしておいてもらったほうがいいので、合計五度の治療としているのが「にき鍼灸院」の標準モデルです。

 

 まだ2020年前半では新型コロナウィルスというものそのものが理解できていない頃であり、「三密」回避のために過剰な処置が言われるようになってしまいました(もっとも2021年になっても飲食店の時短営業に加えてアルコール提供禁止などは根性論での発想であり、科学的に処置法を打ち出さないのは政治力がないだけに思えています)。私自身もスポーツプラザの利用が停止されてしまい、運動不足解消にと週末は早朝から長距離のウォーキングをしたりなどはしていましたけど、吐き出しようのないストレスには本当に参りました。

 一度目の緊急事態の宣言が検討され始めた頃から、浅い呼吸しかしていない患者さんがいることには気づいていたのですけど、滋賀県も緊急事態に加わった途端に息苦しそうな患者さんが非常に多くなりました。といっても、この頃には鍼灸院も通院控えということで一日の患者数が例年の半分以下になっており、それだけに目立つというのか我慢できない症状があるので来院されていたからなのか、一部のメンタルが強い人以外は息苦しそうなのです。

 中には胸の痛みを主訴に来院されるケースもあり、痛みがあっても渋っている脈状は珍しくないものの浅い高さに全て現れていることにはちょっと驚きました。肺の高さなら渋っていてもいいのですが、心の高さは流れが急でなければならないのに渋っているのはおかしいということで、そのような脈状を見かけるとこちらから「息苦しくないか」と質問するとまずあたっていました。観察していると六菽の高さ全てに渋脈が現れていることがわかり、特有のストレスからの症候群と判断できるのだと思いました。社会全体へのしかかっている大きなストレスであり、吐出口が逆に狭められていって感染と将来への不安も加わり、八つ当たりしたいくらいの状態をなんとか自分の中へ押し込めようとしていつの間にかうつむいた生活をするようになったようです。そのため呼吸が浅くなるだけでなく、中には心臓が苦しいと感じる人も出ていたのですけど、脈診から本当の心臓疾患ではないとわかっていました。

 ところが状態把握はできても目の前で苦しんでいる患者さんを救わねばならないのですから、苦し紛れでも治療を考えねばなりません。直感で思い出したのが、婦人科疾患では胸苦しいということは時々あり|中に強烈な圧痛の現れることが少なくないことから抑えてみると、見事に圧痛がありました。ていしんで軽く補ってみると胸苦しさは取れるのですが、今ひとつ深呼吸ができないことと脈状が細くなってしまいます。そこで脈の太さを確保したいという発想で実用化させたばかりの二木式奇経鍼で数秒だけ押し手を作らず鍼の重さだけで当てるようにすると、深呼吸も十分にできるようになり安定した効果が出るようになってくれました。|中は心包経の募穴でもあり、奇形治療ではなく募穴治療なのではと考えています。

 5月になってネットニュースに「アメリカの病院調査でブロークンハート症候群がパンデミック発生後から急増中」というものがあり、ストレス過多から一時的に心臓の動きが悪くなってしまうものを「たこつぼ心筋症」として発見・発表したのは日本人であるともありました。臨床の中で発見し治療してきたものはまさにブロークンハート症候群そのものであり、日本の西洋医学的にはしっかりした検査がないと診断できないそうなのですが、鍼灸はコロナ時代に後遺症の治療という分野で大きくクローズアップされていくものと革新をしました。

 現在の処置ですが、六菽の高さ全てに渋った脈状があれば呼吸が浅いのではないかとこちらから問診し、これで自覚のない20%くらいを除いて不問診に驚かれます。胸骨の上ではあるものの胸へ手を入れねばならないので、この時点で衣服の上から|中を抑えて強い圧痛があることを確認して跡から施術すると伝えておきます。仕上げまで治療を終えてから、一度起きてもらい深呼吸してもらうとこの時点ですでに楽になっているのですが、仰臥位へ戻して|中に二木式奇経鍼を押し手は作らず数秒当ててから再び確認してもらうと、驚嘆するほど深い呼吸になります。何度か開催した実技だけの滋賀漢方鍼医会中心の自主勉強会でお互いに施術をしたのですけど、鍼灸師でも驚嘆する変化でした。かなり極端だった症例を報告してみます。

 

  T.Yさん、女性、49歳。キャリアウーマンとして大阪でバリバリ働いていたのですが、毎日繰り返されるコロナのニュースは恐怖が恐怖を呼び込んでという悪循環となり、一人暮らしの心細さからとうとう恐怖に耐えきれずゴールデンウィークで退職をして実家の滋賀県へ戻ってきました。それでも常になにかに脅迫されているような精神状態が回復しないので最初は心療内科へ通院したところ、薬を出されるだけで一向に何の変化もないことから以前に父親が通院していた経験から勧められて来院されました。脈診した瞬間に見事なくらい六菽の渋った脈状がわかるので、「これはコロナのストレスからブロークンハート症候群というものになっているのです」と説明しました。初回から治療終了時には呼吸が深くなるので効果については納得されたのですけど、あまりの恐怖感から病の本質について理解ができないと言われるので、他のブロークンハートの治療時でも説明がとても長くかかってしまうのでパンフレット作成の必要性を感じていた頃ですから、この患者さんをきっかけに数日で書き上げました。久しぶりに全員配布のパンフレットとしたところ、急速に予約数が回復もしてきました。

   最初は週に二度ずつの治療で、極度の不眠が解消できたなら週に一度として、二ヶ月で精神的にも体力的にも十分働けるところまで回復しています。現在はスーパーの正社員に採用され、月に一度ずつのメンテナンスは継続中です。

 

  H.Yさん、女性、 34歳。四歳になる二人目を出産後に一年間くらい体調悪化があったのですが、この四ヶ月くらい同じような体調であり鬱症状はなんとかならないかと母親の勧めで来院されました。視線はしっかり合わされてくるので申告と少し違うと思いつつ脈診すると、見事なほどではないものの六菽の高さすべてが渋っています。20218月が初診ですから、四ヶ月前だと大阪で大きな感染の波があり入院がほぼできないという状況になっていた頃で、ブロークンハート症候群であることを告げてからニュースが気になっていたかと質問すると、もし感染しても医療すら受けられないかもと思い始めていたということでした。

   初回の治療のみで体調の八割が回復して睡眠も取れるようになり、二度目が終わったなら恐怖感もなくなったといいます。再発防止の三度目は非常に明るい表情で、もし何かあれば自動車で1時間近くかかるところながらすぐ飛んできたいということでした。感染の大きな波が発生するたびに、まだまだブロークンハート症候群も発生してくるものと思われます。

 

 

  2.「時邪を応用した切り分けツールの活用3

 現在の漢方鍼医会は、発足当初からでありテキストに記載されている虚から補っていく形式と、まずは邪を先に処理してしまおうという形式の2つの本治法が併存しています。これからのwithコロナの時代、どちらの本治法も必要な治療形式であり、効率的に切り分けられればどちらも使いこなせていけるので漢方はり治療はより強力なものへとなれるでしょう。その前提として、証の名称と治療法が一致するように定義のやり直しが必須ではありますが。そして今回、五気での季節の治療が見分けられる方法を追加します。

 概要は既に二度発表してきたように、「初の季」から「終の季」までの六気を基準として、該当する経絡の井穴を用いるというのが『儒門事親』に完璧に書かれてあるということで、漢方鍼医会でも追試を始めたことから始まります。時邪なのですから瀉的なアプローチということで、経絡を横方向に切ってまずは衛気をどかせてしまう摂按を用いることが提案され、合宿で実技をしているとうまく合致したときに落ち着く脈状となるのですが不沈も変化していることに気づきました。この合宿では漢方鍼医会流になる陽経の井穴も探っていたことが幸いし、その後の個人研究で3セットくらい陰経と陽経の井穴を交互に摂按することで、必ず脈状が変化させられるようになりました。そして脈状変化の検証を、滋賀漢方鍼医会の月例会で行い、現在は全員で切り分けを活用しての証決定で臨床を行っています。私の研究ではないので詳細は発表できませんが、別方法になる人迎気口の脈診でも同じように切り分けができており、間口を狭くして絞り込んでいるのではなく取り掛かりを容易にできるようになったと思ってください。

 具体的な切り分けは、陰経と陽経のどちらかは脈状がはねてしまうのでまずこれを外してしまいます。落ち着いた側で脈が沈んだなら邪気が居座っているということで瀉法優先の本治法を、浮いてきたなら経絡の流れをより改善すればいいということで補法優先の本治法と切り分けられるというものです。これで陰経からでも陽経からでも、併存している2つのパターンの本治法が効率的に証決定できるようになります。六気での時邪については「井穴を用いる」とだけあり、伝統鍼灸学会でもう一度見せてもらった漢法苞徳会の実技でもそれまででしたから、時邪の処理は脈状変化でもわかるように完了できていると解釈してその先へ進んでいるので、合計4つのパターンに切り分けが応用できていると考えています。

 

  ところが古典ごとで、季節の分け方に五気と六気の2つが存在しています。難経はどちらも書かれてあります。ユーラシア大陸の東側で個別に発展してきた医学が集約・洗練されて東洋医学にまとまってきたのでしょうから、季節感の違う地方の医学が混在することそれ自体は仕方がないというか、様々なパターンが用意されているのであり治療の引き出しは多いほうがいいに決まっていますから、これも切り分けでうまく診断できるようになればとは密かに思っていました。

 2019年の第24回大阪夏期研では「季節の中の漢方はり治療」ということで、五気を基準として本治法の一手目に瀉法を行う治療が紹介されました。今でもよく覚えているのですが、事前に概要説明をしていた大阪代表に対して本部会長が「五期だけですか?」と、五気と六気の両方を考慮するのではなく五期のみを対象としていることに驚かれていました。講師合宿の段階でもまず瀉法が使えそうであるなら優先的にやっていくと言われて期待より戸惑いのほうが大きかったのですけど、本番では大阪漢方の会員にも意見を求めながら実技をしていくと、書き方は悪いですが問答無用で五気の時邪を瀉法で処理していくようにその時には見えました。邪気を最初に処理してしまう本治法は営気の手法を用いてきたのですけど、ていしんを逆さに持って瀉法を行ったのですから「また新しいパターンが加わってしまうのか」という混乱も感じていました。

 けれど集団で効果があることを確認されているのであり、他の研修会の鍼技術でも日々の臨床で患者さんは回復しているのですから「こういうやり方がある」と言われたなら、それも漢方鍼医会という組織の中から出てきたものは否定をせず 類似の症例を臨床の中で待つことにしました。残念ながらその年の夏に遭遇することがなく季節も流れ、そしてコロナ騒動へ突入してしまったので個人研究するしかなかったのですけど、コロナ騒動は身体を脆くさせてしまったと同時に反応も過敏にさせてしまったということで、2020年になる昨年の猛暑の夏にとんでもない症例にいくつか遭遇して「五気での季節の中の漢方はり治療」を体験することになりました。

 劇的な治療効果は後にまとめて列挙するとして、「これはひょっとして」と直感したのは 熱中症や暑気あたりからでした。高温が身体へ作用してうまく排出できなかったか急激にそのままこもってしまたのですが、猛暑というのは粗悪な陽気であり停滞している状態が熱中症、「陽気というのは集まりすぎると飛散してしまう性質がある」と池田先生が繰り返されていたのですけど充満せず飛散してしまい倦怠感や胃腸不良などになっているものが暑気あたりであり、六因での熱邪でもありますが季節的に一気に発生してくるのでまさに時邪の代名詞です。症状は様々で手足は火照ったり逆に冷えて温まらなくなっていたり、胃腸も食欲不振なのに下痢が止まらないとか心下満がきついとか、頭痛が持続して服薬しても効果がなく冷や汗が出ているとか、暑いのは我慢できないのに冷房の中だと寒くてたまらないなどの症状がランダムに組み合わさって出てくるものですから、真正面から全てを考慮に入れてしまうと病理考察が成り立ちません。いや、病理の本質は熱中症か暑気あたりなのですけど、それが見抜けていなければ混沌としか表現ができない状態です。

  臨床家であれば「ようわからんからまずは鍼を入れてみるか」と、とりあえず分かる範囲から開始して途中で軌道修正しながら組み立てていくものですけど、最初から診断できているなら効率が圧倒的に違います。 今まではどうやって治療してきたかというと、毫鍼の時代には腹部へ数本置鍼しておくとしばらくすれば落ち着いてくれたのでそこから考え直しており、ていしんの時代になると劇症だとまず背部の標治法を先に行ってとりあえず落ち着けてしまい、軽症だったなら剛柔を用いて陽経から本治法を始めることが多かったと記憶しています。原因は粗悪な陽気ですから経絡的に動かせば変化はかならず出るので、直後に少しでも楽になってもらえていれば深追いさえしなければ結果は割と良好でした。

  これが2020年の夏は酷暑の上にコロナ騒動なので劇症が連続で持ち込まれてきて、切り分けつールルも必ず行っていたはずなのですがよくわからないので「あっ」という感じで思い出し、立秋を過ぎていましたから大阪夏期研で行ったそのままに肺経の経渠から瀉法を試みると、劇的な治療効果を体験しました。標治法も不要なくらい、別途上で患者さんが元気になってしまうのです。

 もちろん「これは病理がわからんわ」というときに便利屋のように用いたのではなく、他の選択肢よりも経渠を用いたほうが絶対にいいと何度も何度も試して確認できたときの見に行っていました。言い換えれば、昨年はまだ治療そのものに自身が持てていなかったレベルです。けれど立春の前後に寒さから一気に不定愁訴が襲ってきたようなときに土曜であれば脾経の太白、暦の春になれば肝経の大敦へ瀉法を行うことで劇的な治療効果となったケースが出てきましたから、「これはなんとか五気での季節の中の漢方はり治療が適合なのかを的確に見極める方法があればなぁ」と、更に強く思うようになってきました。

 

 2021年の梅雨はここ数年ほど気温が上昇せず、梅雨明けと同時に猛暑が始まるという極端な気候ですから今だから断言できることですけど、時邪に当たっての劇症が急増しました。その後にお盆を中心に長雨で気温が一気に下がり、また猛暑がもとったなら秋雨前線で気温が下がるというジェットコースターのような夏から秋ですから、時邪の影響が本当に強かったでしょう。昨年に「陰経か陽経かどちらが反応が落ち着いたのかがよくわからない」というときに五気での季節の中の漢方はり治療が臨床できたのですから、入り口を陰経・陽経のどちらかに強引に絞るのではなく「どちらもうまく落ち着かなければ五気でやる」という仮設で切り分けていくと、三番目の選択肢がわかってくるようになりました。

 季節の中の漢方はり治療として判断できたなら、この夏に行っていたことは土曜だと太白・秋になったなら経渠へまずは摂按をして衛気をどかせてしまい、脈状が暴れないかを確認します。もちろん腹部と肩上部の改善も確認しますが、残念ながらこの段階では顕著には改善してくれず「少しいいかなぁ」程度が実際です。とりあえず邪気論ということはこれでわかるので、次は流注と逆方向へ警察をして菽法の高さへすべて収まるのかを確認します。いきなり逆方向の軽擦をするとまず間違いなく脈は暴れてしまいますから、この手順が確立できたのも大きかったです。ナソ部の変化をここでもう一度観察するのですけど、この段階になるとナソ部の変化のほうが大きく、むしろ最終確認には当てにしているくらいです。腹部については平均的に改善した程度ということで、三点セットが同じくらいのスピードで一気に変化しないことに臨床投入の難しさがあったのかもしれません。これは邪気論での治療にも共通して言えることです。

 手法については、大阪漢方が提案されたていしんを逆さにして持つ瀉法そのものを用いています。昨年に治療法が確認できた段階では営気や逆方向への刺鍼など様々に試したのですけど、落ち着ききらないか逆方向では暴れてしまうので素直に追試するとうまくいきました。垂直に当てることも試してみましたが、これは二木式ていしんが太く重たいためか脈状が沈み気味で肺がどうしても三菽に浮いてくれないので、流注に従ってそのまま行うほうが取穴もしやすいですし目的もしっかり果たせています。森本式ていしんでも同じ様になったことから、ていしんは硬いので鍼の形状のほうが補瀉には大切なのかもしれません。ただ、鍼の形状に合わせて持ち方を変えることは大きいのですが、手法としての価値がこれだけで決まるものではないだろうと臨床家の意地もあって考えていると、自分の身体へ基本刺鍼をして練習を繰り返していると邪気というものは魚を釣り上げるように慎重に引き上げたほうがより効果的だと感じたので、九鍼十二原篇にある瀉法は即刺徐抜を徹底したならさらに臨床が安定しました。ついでですが、衛気の補法も徐刺即抜を組み合わせて現在臨床追試をしています。物理的な変化を加えることで、補瀉は大きく動かせることは間違いなさそうです。

 

 

  3.五気での「季節の治療」の効果について

 暑い夏には特に五気での季節の治療が当てはまるケースが多く、その驚くほどの効果をいくつか治験例として発表します。ただし、臨床全体に占める割合は10%未満であり問答無用で応用範囲を広げようと思えばもっと割合を高くすることができるのかもしれませんけど、切り分けツールの活用から出てきたものであり確実に「これは」というものに限って臨床追試をしています。臨床家は患者さんの健康回復を第一に願っているのですから、個人の興味を優先するのは鍼を実際に行う手前までの追試はしても、患者さんを実験台にしてしまうのはご法度でしょう。

 数年前に「夏バテ」というのは猛暑の時期に食欲減退や倦怠感などの不調を表す言葉と現代語の使い方が再定義されたのですけど、本来なら「暑気あたり」です。これとは反対にそのような状態は確認されていても「熱中症」という言葉が過去にはなかったものです。粗悪な陽気が停滞してしまったものが熱中症ですから切り分けツールでどちらも落ち着かないときに浮いていたものが該当し、粗悪な陽気が一度入り込んでから飛散してしまったものが暑気あたりですから脈は沈み気味となります。病理は途中まで同じですが現れてくる状態が異なるので、熱中症は頭痛などが取れてもすぐ動かないことを注意します。暑気あたりは陽気が飛散してしまった後なので冷飲食を控えることを注意するのが寛容です。ちなみに本来の夏バテというものは温病で、涼しくなって夏の暑さの疲れが出てきてしまったものですから病理としては大きく変わらないものの、倦怠感が取れても一気に動かないようにと注意することが寛容になります。

 

  K.Mさん、60歳、女性。昨年に一番の劇症状態で来院された方で、「五気での季節の中の漢方はり治療」を実践するきっかけとなった症例です。下痢が止まらず手足も冷たいのに、顔から頭は火照ってしまい冷房に入ると気持ち悪くなってしまいますが、それでいて暑いのは耐えられないとも訴えられます。普段から健康管理で定期的に来院されているものの、あまりの劇症にこちらも驚いてしまいました。手は冷たいのに脈状は浮いて少し突き上げてきますから「なんじゃこれは!!」という感じです。今なら熱中症だと即断できるのですけど、この時点ではまだ五気での季節の中の漢方はり治療を実践しておらず、とりあえず夏バテだと告げて何度も確認をしてから経渠へこのときには営気の手法を行っています。そのまま半時間近く休んでもらってベッドへ戻ってくると、すっかり手足が暖かくなり頭の火照りが取れていて「一本の鍼で楽になりました」と、標治法さえ不要なくらいの状態です。こちらのほうが治療効果に安堵したものです。

 今年もまた似たような症状が発生したのですぐ来院されたのですけど、昨年と違って倦怠感のほうが強いと言われますし切り分けツールで確認すると脈状がまだ跳ねたままですが沈み気味になっていたので暑気あたりです。似たような症状ながら昨年とは違うという解説は話に時間がかかりすぎるのでこれは省略させてもらって、帰宅後も一日ゆっくりだけ気をつけてくださいということで治療終了。二週間後にメンテナンスに来院されたなら、すぐ回復していてその後はずっと楽に過ごせていたということでした。

 

  K.Rさん、女性、26歳、前述のK.Mさんのところのお嫁さん。K.Mさんの子供は三人とも医者ながら治療経験があり、このK.Rさんも看護婦であり10ヶ月前に出産をしていて現在は産休中。東京都内在住であり、赤ちゃんがいて新型コロナの感染防止ということからほとんどをマンション内で生活しているのですけど、一ヶ月前から頭痛が続いていて疲れもあり、里帰りを利用して一度治療を受けてみたかったということで来院。まだ若く産後の経過も悪くなかったのに頭痛が一ヶ月持続していて首に熱を持っているということから、本人も単純な育児疲れではないと判断をしていたということです。問診段階で時邪の可能性が高いとは思っていましたが、切り分けツールで五気での季節の治療が妥当ではという結果であり、脈は浮き気味になるので熱中症と思われます。集合住宅なのでエアコンを切ることはないが赤ちゃんが寒がらないように設定温度は高めにしていたということで、室内での熱中症だとすんなり結論が出ました。経渠へ瀉法をして、しばらく休んでもらうとあれほど頑固だった頭痛が半分以上回復していたことには驚かれていました。

 

 N.Tさん、男性、54歳。毎月定期メンテナンスで通院されているのですが、急に胃の具合が悪くなりお腹全体が冷えて体調を大きく崩したということで首の痛みも強く来院。まだ猛暑が続いている中なのにこれほど全身が冷えてしまうのはかなり違うだろうと本人も気づいたということで、先に医者で診察は受けてきたのですけど胃カメラまでしたのに、単純な疲労だと言われてしまいました。あちこちに痛みも伴っているのですから胃潰瘍だと言われたならまだわかるのですけど、胃カメラの画像しか見ていないので全身状態が把握されずに完全な誤診と言わざるを得ません。切り分けツールで五気が妥当ではと同時に脈は沈み気味となり、暑気あたりではないかということで冷たい食事に偏っていたのではないかと追加の問診をすると、段々とあっさりしたものしか口にできなくなってきていたということでした。本治法の最初に経渠へ瀉法を行い、仕上げが終わる頃には胃が動き出していました。

 二週間後に元々の予約があったのでそのまま来院してもらったなら、前日に二度目のワクチン接種があり倦怠感と頭重があるということでしたが、発熱はしておらずこのときには腎虚陰虚証で復溜に補法を行っています。ちなみに新型コロナのワクチン接種後に節々の痛みがなかなか回復しないとついでですが訴えられるケースにいくつか遭遇しており、五気での季節の中の漢方はり治療は半分くらいでした。私自身も二度目の接種後に微熱が出たのですが、午前中は脈の観察をする人体実験に当てていて昼休みに自己治療をする予定が外出になってしまったので、夜になったのですけどもう解熱していたので脾虚陰虚証で泰斗へ衛気の補法を行ってすぐ楽になりました。

 

 M.Mさん、男性、 37歳。10数年前からなかなか就職ができなかったときに体調を崩してからの来院であり、体格はいいのですが気が弱く脈が常に沈み気味で渋っていることが多く、治療をすれば速攻で回復してくれるのはいいのですが何か今ひとつ決め手を欠いている印象の患者さんです。オリンピックが始まった頃に猛暑から目眩がするというので、「この人が来たならぜひとも時邪での治療が確認したい」と思っていた通りの反応をしてくれて、暑気あたりとして治療をしました。三週間後に大雨が続いて急激に気温が下がってきたことから体調を崩しそうということで予防的に来院されたなら、今までどうしても太い脈状が維持できていなかったのにあっさり年齢相応の脈状となっていました。このときにも暑気あたりということで治療をしています。

 この患者さんは常に病理考察ではどこかに矛盾を抱えていたのですけど、気の弱さから常に時邪の影響を大きく受けてしまう体質ではなかったのかというのが今の所の感想です。これから観察をさせてもらい、確認をしていきます。

 

 O.Kさん、女性、 53歳。2週間前から激しい頭痛が持続しており、服薬しても痛みが変わらない日もあって耐えられずに来院。服薬しても痛みが変わらない頭痛といえば骨盤がずれてしまってのものが連想されるのですけど、腰痛の自覚はなくても足の長さが大幅に違っているところが足は冷えていても長さは同じであり、他覚的にはのぼせているのですけど自覚はないということです。何か他の原因はないのかと考えましたが手がかりがないので、切り分けツールで確認していくと五気での治療が怪しそうです。暑い場所での作業はなかったのかと問診しても料亭の若女将なのでずっと冷房の中だというのですが、逆に言えば冷房を過信して和服姿で体内に熱がこもってしまったのかもしれません。右の経渠を最初は摂按すると、脈は少しおとなしくなった程度ですがあれだけ緊張していたナソ部が急に緩んでしまいました。逆方向の警察をすると菽法それぞれの高さに収まりそうですが抵抗感もあるので再びなソ部を探ると、ほとんど肩こりを認識できないくらいになっています。側頸部のあれだけ強かった硬結も、かなり緩んでいたので熱中症ということで治療をしました。

 治療直後に頭痛の大半は回復していたのですが不十分ということで二日後に来院してもらうと、頭痛はぶり返すことなく軽い状態が維持できていました。一度目の治療は証決定にそこまで自信がなかったのですけど、この症例は切り分けツールの正しさに自信をもたせてくれました。二度目も熱中症の続きで治療をして、終了時には頭痛が完全に消失していました。

 

 F.Kさん、女性、 40歳。実家の沖縄へ里帰りをしていたときに突然全身倦怠で動けなくなってしまい、同時に激烈な頭痛も発生してきてしまいました。お盆明けに歯を食いしばるようにして滋賀県までは戻ってきたのですけど自宅へ到着すると寝込んでしまい、鍼灸院で治療を受けたいから戻ってきたのに寝ているだけでは解決にならないと翌日に来院。普段は頭がキレキレのマシンガントークなのに経過説明が混乱していて目がうつろです。最初から脈は沈んでしまっていたのですけど切り分けツールでは陰経も陽経もかなり暴れたままであり、五気での治療に迷いはなかったのですけどあまりに沈・数であり特に関上が両方とも沈みきっているので胸の熱を探ると、大げさですけど熱を感じないのです。汗で冷えてしまったようなものでなく、熱が抜けてしまっているという感じなのです。

 経渠への瀉法は慎重に僅かなものとして、直後にお腹は暖かくなりましたが胸は血液が通い始めた程度だったので半時間くらい休んでもらうと、やっと暖かさが戻ってきました。標治法も軽く済ませると頭痛がすっかり取れたということです。一週間後に来院してもらうと頭痛はあくる日からまた感じてきたものの、十分に日常生活はできる程度になっていたので治療を楽しみにしていたといいますから同じような治療をしました。更に一週間後に、再発防止を兼ねてもう一度ダメ押しの治療を同じように行っています。

 

 

   4.終わりに

 途中に臨床家は患者さんの健康回復を第一に願っているのですから、個人の興味を優先するのは鍼を実際に行う手前までの追試はしても、患者さんを実験台にしてしまうのはご法度でしょうと自ら書いているのですが、臨床は生き物ですから常に次のレベルへ向上するためな挑戦が必要な場面もあります。昨年の夏に今なら熱中症と即断できる患者さんへ劇症へいきなり実戦投入というのは患者さんに対して申し訳ない気持ちが本当に強いものの、「これですぐ治ってもらえるものなら」の祈る気持ちがもっと強かったことを吹きしておきます。そして、日々の自己治療の中では何度も何度も五気での季節の中の漢方はり治療は実験を含めて試しており、全く裏付けのない技術を人体実験させてもらったものでもないことを付記しておきます。

 私が入門させてもらった当時と最近を比べて一番感じることは、自己治療を通して臨床力を磨こうとする人が少なくなってしまったことです。研修会の実技中に教えてもらったことをすぐ試すのはいいのですが、いきなり班員の身体へ行ってしまうというものはどうなんだろうと思います。まずは自分の身体へ今教えてもらったことをやってみて、その上でしっかりコピーができているのかを班員に試させてもらってお互いチェックするというのならいいのですけど、いきなり他人へ行うというのでは治療室でも同じことをされているでしょうし、それではなかなか技術力の工場にはつながらないと思います。今回の発表も治療室で自分の身体でまず何度も何度も試してから臨床の中へ組み込んできたものであり、時々苦し紛れから全く新しいものを発見することはありますけど基本は日々の積み重ねです。新型コロナのワクチンは素晴らしきハイテクの医療ですが、試験管の実験が突破できたなら次はいきなり生体実験をさせてもらうしかありません。鍼灸は自分の身体へ行えるという素晴らしきローテクの医療なのですから、ローテクのほうが日常生活での守備範囲がずっとずっと広くハイテクの医療に決して劣らない価値あるものという自信を持って、次の時代を目指していきましょう。




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