鍼灸臨床あれこれ ビデオ集
このページを、敢えて「鍼灸臨床あれこれ」というタイトルにしています。鍼灸学校では圧倒的に不足している実技時間、また勤務や開業をしていても十分に指導を受けることなく行われている治療は我流でしかありません。たとえば「鍼はどれくらいの力で持つのが適切なの?」「取穴時にはどのようにして立てばいいの?」「押手や刺し手の工夫は?」などなど本当は疑問だったのに回答を示してもらえず我流がいつの間にか回答と同義になってしまっているでしょう。
あちこちのページで書いていますが書籍を読んだり動画を見て模倣するだけでは、術の会得はできません。インスタントで身につくような技術などなく、研修会へ参加し、先輩から実際に手ほどきを受け、自分でも練習をしてという繰り返しが必要です。
医療を行うのに絶対的な正解というのはありませんから管理人の提唱する到達点の一つなのですけど、下積み修行を経て研修会に通い続けた中から「にき鍼灸院」の助手たちと共通理解が得られ、ほかの漢方鍼医会会員とも共通できるだろう基本技術を、できる限りビデオと併せて収録したので「臨床あれこれ」としました。研修会参加の合間に、復習として活用してください。
自然体の立ち方(基本的自然体)
「新版漢方鍼医基礎講座」から前半部分を抜粋させてもらうと、
*両足は肩幅を目安に開き、爪先はやや内側に向くように立ちます。その際、術者の身体は患者の経絡と平行になるように心がけます。
*背筋を伸ばし、脇は軽く締めるようにします。
*肩や腕の力を抜き、顎を軽く引きますが、頭を下げないようにします。頭を下げることによって手指が重くなり、期待する治療効果が得られなくなります。
特にポイントとなる「自覚的には内股で立つ」こと、確認してください。
自然体(基本的な自然体)の立ち方(Windowsメディア)
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臨床的自然体と、その工夫
自然体(基本的自然体)で全ての施術が行えればいいのですけど、患者さんの体格やベッドとの位置関係から臨床ではその時その時に応じた自然体を工夫せねばなりません。これを臨床的自然体と呼んでいます。まず押手だけを経穴の概ねの位置へ置いてベターな立ち方を探し、続いて刺し手を持ってきて若干の修正でベストな立ち方を決定していくというのが臨床的自然体です。
臨床的自然体を決定していくビデオ(Windowsメディア)
臨床的自然体を決定していくビデオをyoutubeで再生
さらに臨床的自然体を作るためのいろいろな工夫をしているビデオ(Windowsメディア)
さらに臨床的自然体を作るためのいろいろな工夫をしているビデオをyoutubeで再生
臨床的自然体での委陽の取穴ビデオ(Windowsメディア)
臨床的自然体での委陽の取穴ビデオをyoutubeで再生
「二木式ていしん」の説明
この先の実技には、基本的に「二木式ていしん」を用いることを想定していますので、ここで説明です。
数種類を制作しているのですが、オリジナルデザインは竜頭部分に平面を施したいという発想から出てきました。両端を真円にすることで、邪に対する処置も最初から考慮して作成しています。
オリジナルデザインの二木式ていしん説明ビデオ(Windowsメディア)
オリジナルデザインの二木式ていしん説明ビデオをyoutubeで再生
二木式ていしん、55mmと45mmの使い分けと持ち方の練習(Windowsメディア
二木式ていしん、55mmと45mmの使い分けと持ち方の練習(youtube)
軽擦でのポイントと注意点
手法を行うためには、まず取穴をせねばなりません。取穴をするためには臨床的自然体を確立させてから、軽擦より入ります。軽擦など誰でもできる当たり前のことと思われるかもしれませんけど、患者さんへ触れる第一歩でありこの時点で粗雑だとたとえば手法が芸術的であったとしてもその効果を発揮させられません。軽擦は手法の適否を握る、とても大切な入り口です。
軽擦全般についての解説ビデオ(Windowsメディア)
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軽擦での注意点(ソフトランディング・ソフトテイクオフ)ビデオ(Windowsメディア)
軽擦での注意点(ソフトランディング・ソフトテイクオフ)ビデオをyoutubeで再生
衛気の手法
衛気とは経脈の外を巡り、素早く動いて護衛をしている気のことであり、陽気と言い換えてかまいませんし、いわゆる「気を補う」と表現されている手法だと理解していただいてもかまいません。素早く衛気に応ずる速度で軽擦をして取穴できたなら、衛気に応ずる重さで押手を構え、鍼はなるべく水平に近い状態で手法を行います。
衛気の手法ビデオ(Windowsメディア)
衛気の手法ビデオをyoutubeで再生
営気の手法
営気とは経脈の中を津液とともに流れている気のことで、陽気である衛気に対して衛気は陰虧ということになりますから難経では「陰虧を補うことは瀉に通ずる」ということで冩法として用いられます。血を動かせる手法と捉えてもかまわないでしょう。営気に応ずる速度で軽擦をしたなら、そのまま押手を構えると営気の重さになっているので押手を作り、鍼は垂直近くに建てて手法を行います。
営気の手法ビデオ(Windowsメディア)
営気の手法ビデオをyoutubeで再生
押手の自己修練法
ところで、衛気に応ずる押手の重さはどのようにチェックしますか?自分の反対側(刺し手)の三角筋上に押手を作り、三角筋側で押手の拇指と示指が触知できるようでは、それは重すぎます。
押手の重さの自己修練法ビデオ(Windowsメディア)
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押手のポイントは
押手で大切なことは、まず拇指と示指がしっかり鍼を挟んでいるかですけど、力一杯締め付けるのではなく包み込めていればいいのです。そしてもう一つのポイントは、残り三本の指の中でも小指が「引っかける」ようにして支えになっていること、押手の安定はここで決まります。
押手のポイント、特に小指が「引っかける」ようにビデオ(Windowsメディア)
押手のポイント、特に小指が「引っかける」ようにビデオをyoutubeで再生
押手の練習、中指・薬指・小指の使い方(Windowsメディア)
押手の練習、中指・薬指・小指の使い方(youtube)
刺し手の工夫1、鍼を持つ練習
これは二木式ていしんを用いなければできない修練法ではありますが、鍼は「気のアンテナ」とよく表現されているように気を注ぐ道具なのですから、指先は鍼先と同じ方向であることが望ましいでしょう。平面に沿って示指がしっかり伸ばせれば、垂直近くにしても鍼は落ちません。ここへそっと拇指を持ってきて挟んだ状態、これが鍼を持つ力の目安になります。
鍼の持ち方ビデオ(Windowsメディア)
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刺し手の工夫2、残り三本が肝心
刺し手も拇指と示指で適切な力で鍼が持てたなら、残り三本の指をいかに使うかが決め手になってきます。残り三本を遊ばせていると、鍼の方へ力点がかかってしまい繊細な手法はできません。難経の転換手法を行えるのも、残り三本にかかっています。
刺し手も残り三本が肝心ビデオ
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刺し手の解説、中指・薬指・小指が重要(Windowsメディア)
刺し手の解説、中指・薬指・小指が重要(youtube)
世界で唯一!!腹部を用いての客観的臨床修練法
しかし、ここまで工夫をしてきても客観的に手法を評価する方法が今まではありませんでした。医療というものは結果によって判断されるものであり、途中に客観性を求めるのは非常に困難です。けれど衛気と営気の二つの手法を難経が用いているなら、これら二つを同じ身体へ施せば比較検討ができるということであり、開発したのが臨床的手法修練です。漢方鍼医会は世界で唯一、客観的評価のできる手法収斂法を有しています。
腹部を用いての臨床的手法修練の解説ビデオ(Windowsメディア)
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これも世界で唯一!!手法時間の客観的収斂法
臨床的手法収斂法はできましたが、果たしてそれがベストの時間で行えているのかという問題が残ります。手法時間というものは意外と手早く行わねばならないものであり、手応えがあってから抜鍼動作へ入っていたのではピークを越えています。前半は放物線を用いて理論解説をし、後半はそれに基づいた実技です。病体や病情、そして術者の気の強さによって手法時間は毎回微妙に異なってきますから、理論を理解し両手の感触を覚えて臨床応用してください。
手法時間の考え方と図による説明、および実技収斂ビデオ(Windowsメディア)
手法時間の考え方と図による説明、および実技収斂ビデオeをyoutubeで再生
邪専用ていしん
二木式ていしん第三弾は、「邪専用ていしん」と呼んでいます。その名の通り邪に対してのみ使うという意味であり、衛気・営気の手法には使えません。竜頭部分を丸くしてバットのような形状の万能タイプていしんを企画していたのですが、同時に先端にえぐり混む穴を開けた形状のものも制作していたのが邪専用ていしんとなりました。オリジナルデザインでは邪を払う手法が強く押し込むので痛みを伴うことから、痛みを与えないように考えてみたものです。標治法レベルで邪を払うのに重宝します。
邪専用ていしんの概要ビデオ(Windowsメディア)
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邪専用ていしんの具体的使い方ビデオ(Windowsメディア)
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邪専用ていしんの説明と使い方(Windowsメディア)
邪専用ていしんの説明と使い方(youtube)