下手なのに当たって懲りた

 今日も新患さんに「今まで鍼灸を受けたことはありますか」と定番の質問をしていたところ、「受けたことはあるが初めての時に下手なのに当たって懲りた」と、なんとも業界人としては情けなくなる言葉を聞きました。
 つまり、どこの治療室でも「鍼は痛くありません」と宣伝文句を並べているのであり、そうでなければ新患さんを獲得することはできないでしょう。でも、実際の評価はこれでした。そして患者さんは、よくわかっておられます。
 毫鍼で切皮をしてから刺入をする限り、どんな名人がやっても1000回もやれば一度は軽くでも痛みを出してしまうでしょうし、上手な人でも100回に数本は痛みを伴っていても仕方ないとは思うのです。問題は痛みの程度であり、連続して痛みを与えないことでしょう。
 私の下積み修業時代、一人の患者さんへ背中に50本は置鍼をするというスタイルでしたから、学生時代から変わったステンレス鍼での置鍼でまず練習をしたことは連続で痛みを出さないようにすることでした。鍼管を斜めにして切皮する技術は難しいのですけど、これができるようになれば連続で痛みを出さないようになります。
 まずは現実的な目標で収斂をすることと、その次まで見据えてまずは自分の身体で練習することが大切です。痛い鍼をしているのは、自分の身体を使って練習をしていない証拠です。

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