我々の使命

 新型コロナウィルスがあろうがなかろうが、気の毒な症例というものがあるもので、そして他の医学の網からこぼれ落ちてしまっているものを救うのが我々の使命の一つだとも思っています。
 中学の教員を長年されてきたのですけど六年前から右の指の動きが悪くなり、医者からは加齢によるものだから仕方がないと言われまだ仕事には差し支えがなかったので段々とは悪化するものの放置しておいたそうです。
 ところが昨年度になるとチョークで黒板に文字が書けなくなってきてしまい、給食の配膳もできなくなってきて箸を持つのも一苦労、ピースサインもできず左の母指も震えるようになってきたので「これはまずい」とあちこち治療に駆け回るようになったそうです。京大病院へ検査入院をしてもニューロン障害かもしれない程度で、原因不明で治療法もありません。
 自動車のハンドルを握るのはまだ問題ないので美容院へ出かけていて話を聞いてすぐ来院されたのですけど、私もこの状態では最初頭の中が真っ白。ところが「今回は治療の方向性を見極めるレベルになってしまいますけど」と断ってから肺虚肝実証で本治法をすると、盛り上がっていて気になっていた側頸部が柔らかになり左の母指の震えがいきなり停止してしまったのです。
 これは一連の顔面に痛みを発生させてくる側頸部の硬結と同じものかもしれないということで、ていしんの太い側で硬結を抑える手法で緩めていくとさらに状態が改善してくるのです。コロナ騒動で予約数が少ないところでしたから十二分に時間をかけての検証ができたということで、我々の使命は常に求められているのだとこちらのほうが実は感動をしていました。

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