天宗を中心とする肩甲骨の反応にも注目を

「ほっとした」という感想が本音の、左肩関節が激痛になっている患者さんが今週は来院されています。後期高齢者へ入ったばかりのご婦人なのですけど、普段なら「暑い暑い」を連発して夏ならエアコンの真下でずっと冷房をかけ続けていてほしいというくらいの人なのですけど、今回は「寒い寒い」と靴下まで履いていてどれだけの痛みかがこれでわかると思います。
日曜日に草むしりを手伝っただけというのですが、昼過ぎから痛みだしたなら夕方にはもう腕が動かなくなっていたということで夜は眠れず、ベッド上では肘を曲げるだけでも激痛が走ると言われます。脈状と痛む中心から臂臑付近の亀裂骨折と診断し、仕上げは瀉法鍼をかなり行いました。発熱しているので「今夜は眠れるのがやっと」とは説明したのですけど、あくる日もほぼ症状が変わっていません。
三日目は痛み止めを服薬したので眠れてはいたものの、まだ症状が変わりません。四日目は臂臑付近の痛みは触診しても大丈夫になったのですけど、全く自力で居城できません。亀裂骨折なら初日から痛みが半減できるものですし、痛すぎても3日もすれば楽になっているのが当たり前ですから、どこを見落としているのかと肩関節周囲を探ると天宗を中心に少し抑えただけでも痛みが増悪しています。
ちょっと賭けの部分がありましたけど瀉法鍼を大量に行うと、夕方には痛みが半減してまだ挙上は出来ないものの今朝には自発痛の八割が消失していました。「ほっとした」が本音です。
ちなみに午後から三ヶ月半前に店頭をして胸椎の亀裂骨折があったという男性、左上肢が水平にも満たない挙上でしたが天宗を中心に痛みがあったので瀉法鍼を行うと、すぐ真上まで居城できるようになってしまいました。