メリハリのある診察と治療を

上肢全体にしびれが発生するというのは、ちょうど肩中兪の下側で血管が押さえつけられているからだということを発見したのは30年も前のことになります。病院を抜け出して通院されたトラック運転手さん、すぐしびれている側の手をバンザイ状態にされることから圧迫を回避されているのだとわかったからです。当時は号しんでしたけど、うまくポイントへ刺鍼できるとしびれが顕著に回復できました。
このような症状を5年に一度ずつ程度遭遇するのですけど、昨年から今年にかけて連続で来院されます。新型コロナ騒動の余波で、疲れが出てしまったのでしょうか?
そして困ったことに、現在の患者さんは決まって激痛も訴えられます。しびれを我慢していたので肩甲骨周囲や内側に硬結が発生しているからでした。邪専用ていしんを用いて、さらに座位で緩める操作をすることにより劇的に改善してもらっています。
「ここへ毫鍼で刺鍼したい」というケースに遭遇するとき、ていしん治療のもどかしさを感じるのですけど決してそのようなことはありません。一番診察も効果も出ないのはメリハリのないことをしているときであり、ていしん治療であっても深い部位を操作する必要がある時には、思い切り押し付けてグリグリとやるべきなのです。ただ、本治法がしっかりできた上でそれができる形状のていしんを作っておくという条件はありますけどね…。