学生よりも手間のかかるおばさん

 午前中の患者さん、三度の飯よりエアロビクスが好きという感じで一日たりとも休みたくないのですけど、どうにも右膝の痛みが取れずに四年ぶりの来院となりました。
 「これは原因が腰だから最低でも仰臥位ですぐ足が伸ばせる程度になるまではエアロビクスは休まないといけない」と宣告すると、思い切り大きなため息を繰り返します。十日間程度でまたできるようになるはずですし、その間も水中ウォークや自転車こぎ程度の運動ならかまわないというのですけど、本人はエアロビクス命なので休みたくない態度がありありです。
 そして「整骨院でもみほぐしてもらっていたのにどうして」という食い下がる質問に、臀部を押さえると瞬時に膝窩の突っ張りと痛みが消失するので「これだ」と証明して見せたのですが、それでも休むのがいやなようです。
 「あのね、独自の診察法を持たない治療では訴えたその箇所を施術するだけで、仮に痛くもない肘を差し出したならもんだり伝記を書けたりするはずですよ」と、誰かの悪口は言わなくてもいいのですけど強烈に説明しないとどうしようもありませんでした。
 そして最後になって、一度も手を触れていない膝が伸びて痛みも軽くなっていたので、ようやく少しだけはエアロビクスを休む決心ができたようでした。学生よりも手間のかかるおばさん。

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