任脈・督脈・衝脈を直接触って効果が出せる理論

上肢の痛みや不具合に任脈と衝脈を用いるのはすっかり定番になったのですけど、午後の患者さんは左肘を中心に腕全体が腫れていて自発痛だけでもとても苦しそうです。
夏前から肘の痛みを感じるようになっていたのですけどその頃は疲れたなら痛む程度だったものが、左肩甲骨周囲の痛みを秋になって感じるようになってから肘の痛みが悪化してしまい、今週に入って自発痛が停止せず腕をぶら下げているだけでも苦しいということになってしまいました。つまり、痛みの本体は肩甲骨周囲の硬結です。
では、どうして一経の任脈や衝脈の処置ですぐ痛みが半分になり動かせるようになるのか?奇経というのは正経の受け皿であり、なるべく正経が停滞しないように自覚のない間から受け皿として働いていることもあり得ることで、それが下顎の流注上で硬結となって触れるのでしょう。二経治療であれば衝脈に陰維脈を組み合わせることでもっと滞りを退避させるので瞬間的に症状が消失できます。ただ、アプローチをやめると戻りが早いというのも、これで納得です。
任脈や衝脈の流注上で硬結となっているものを手動で動かすと受け皿がきれいになってしまいますから正経も連鎖反応で動いており、証を考えずに本治法のウォーミングアップができてしまうのでしょう。また知らない間に受け皿に任せておいたものの掃除ができるのでゴミの取残しがない分、症状の戻りが少ないという特徴もこれで説明できてしまいます。おぉなんと、イメージ的ですが理論に矛盾がありませんね。ちなみにここで紹介している患者さん、すぐ自発痛が半減してひじもある程度動かせるようになっています。そして治療の最後に肩甲骨処置を加えることで、痛みはまだ少し残りますがひじが最後まで曲げられるようになっていました。