漢方鍼医会の奇経治療14

 前エントリーの患者さんがあまりに驚嘆されているので、「昔の技術を今の時代向けに復興しようと駆風の最中なんです」と説明していたところ、「手足の鍼だけですごい」というさらに驚いたコメントです。
 もう何年もメンテナンスで毎月通院されているのに、本治法は全く鍼という感触がなく何をされているのかわかっていなかったということです。素人さんは「とにかく全体を通して楽になるのだからそれでいいか」くらいにしか思われていないだろうとは想像していたのですけど、奇経治療なら手足に鍼が当たっていることははっきりわかるのであり直後に症状が回復しているということにものすごく興味を示されました。
 この反応は長年臨床をしてきた私にとって、盲点であり猛反省しなければならない点を含んでいると直感しました。つまり、本治法の後に急に眠くなって標治法までの半時間近く睡眠に落ちて気持ちよくなってもらっているのが治療の特徴の一つなのですけど、手足の鍼だけで「ほらこんなに効果が出ているんですよ」ということを患者さんに実感してもらうことが、より大切だったのです。
 「なんだか訳はわからないけどあそこの鍼灸は痛くなくて効果があるよ」だけでは弱く、そんな話を聞いても自分も治療を受けようと思ってくれる次の人はなかなか現れないのです。「手足に鍼をされただけなのにすぐ離れた場所の症状が軽くなるよ」と宣伝してもらわないと、これから開業していく人たちの武器にならないのだと感じました。もちろん成績がなかなか上がらず苦慮している先生たちにも、強い武器になること間違いなしです。

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