今年の治療を振り返って

本日は午前中のみの診療であり、昨日の段階で予約枠が全て埋まってしまっていたので冷や汗ものでしたが予備枠を一つ使ったのみで、カルテ打ち込みも追いついた状態で無事に本年の仕事を終えることができました。
本年も色々あったのではありますが、一番大きかったのは二木式奇経鍼を用いての様々なテクニックを開発し、すぐ研修レベルにまで引き上げることができたこと。開発そのものは3年前にしていたのですけど、見た目はただの棒きれにしか見えないていしんなのですが押し付けて使うことを前提にしており、押し付けても瀉法にならない構造へ発想の転換が自分でも追いついていなかったのは今となってはおかしく感じます。
まず肩関節の亜脱臼はわかっているのに医者では処置をしてもらえなかった仰臥すらできなかった患者さん、もちろん肩関節の整復はするのですけどその前に痛みを少しでも緩和しておかねばならないときに子午治療を思い出し、これを二木式奇経鍼で完全に金30版を使っていたときと同じことが再現できることに気づいたこと。子午治療の実力は十分に知っていますから、面白いくらいに逆転ホームランが打てるようになりました。
次に毫鍼を用いていた頃には何でもなかった肩甲骨周囲へのアプローチが、こちらも簡単に再現できることにやっと気づいたこと。ていしんの最大のメリットは絶対に刺さらないことですけど、刺鍼できれば肩甲骨の下側や肩中兪など硬結へのアプローチは簡単だったのに、思いきり押し付けるという操作はできないと思いこんでいましたが、邪専用ていしんで少しやっていたのは弊害もあったものの二木式奇経鍼なら瀉法にならないのですからいくらでもできるようになったのでありました。
そして夏以降は奇経を直接操作することを発見。偶然に顎関節症のことを相談されビジョンが見えて、下顎を用いると面白いように上半身の症状が改善できたことから研修会で検証してもらうと、滞っていた奇経を物理的に押し流していることがわかりました。任脈・督脈・衝脈の3つなら単独での治療効果も大きく、特定の流注上へ操作をすることは手軽で安全な上に症状のぶり返しも少ないというほぼいいことづく目のアプローチになってきました。